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Vol.2 京都文教大学の「元気印ロジャーリアン」
高橋紀子先生にお話を伺いました。

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● 担当している授業

院生:
先生が受け持たれている学部の授業についてお伺いさせてください。
高橋:
私が受け持っているのは、心理学実験査定の初級と中級、臨床観察実習、それから臨床心理学実践演習を2つ受け持たせていただいていて、カウンセリングとフォーカシングです。それと、後はゼミですね。ゼミは、1回生と3回生が秋学期、春学期は2回生も持っていました。
院生:
では、これらの授業の魅力や大切にしているところはどういったところですか?
高橋:
去年と今年でまず変えたところがあって、実験査定の初級の段階で、統計の段階までやることにしました。以前は、データをまとめてグラフを作ってそれを読み取るところまでだったんですけど、今はt検定と相関まで見るところまでするようにしています。そうすることで、多分卒論直前で初めて統計を真面目にするんじゃなくて、2回生の時に統計まで行って結果なんだということを体験できる流れになっているので、これから先は少し卒論が書きやすくなるんじゃないかなと思っています。
院生:
それはすごく良いことですよね。習っていても手をつけてみないと分からないというところはありますからね。実際にやっておくと、後々楽ですよね。
高橋:
そうなんですよ。バラバラに勉強していると、それらがどうつながるのかイメージしにくいみたいで、実験の時にはなるべく1セット作れるように考えてます。
院生:
こういう研究計画では、どんな流れで実験・調査をしてどんな分析をして結果を出すという流れを1セットにしておくということですね。
高橋:
そうですね。それが授業のおすすめのところですね。
院生:
実践演習のカウンセリングの授業ではどんなことをされているのですか?
高橋:
カウンセリングは、春学期はピアカウンセリングの仕方というのを行い大学生同士のカウンセリングを勉強していてます。また、秋学期は小学生の居場所作りを行っていて、サテライトキャンパス大久保(注1)を使って、そこに地元の小学校で放課後に居場所がない、共働きだったりするご家庭のお子さんたちに来てもらって、一緒に遊ぶなかで居場所を作っていくという活動に携わらせていただいています。
注1:サテライトキャンパス大久保・・・地域のネットワークをより強固なものとするための本学の地域連携活動の場。各学科の実習や学習成果の発表の場として、またワークショップやシンポジウム。各プロジェクトを通じた地域住民との連携・交流の場として活用する他、ここを拠点に学生を主体とした地域との双方向協働プロジェクトを推進しています。

● 研究テーマは理想自己とグループ

院生:
次は先生の研究テーマについてお伺いできますか?
高橋:
研究テーマは大きく2つあって、1つは、理想自己です。
その人が何を求めているのかとか、何を願うのかということがその人のパーソナリティにも影響してるというふうに私は考えていて、その人がどういうふうにありたいと自分のイメージを持っているのか、というのをやっています。これは、臨床の中でどうつながっていくのかというと、自分に立脚していないイメージを持ってしまって挫折してしまうパターンで、「自分のいいところを生かしてこうしていこう」というのではなくて「ああなりたいけど自分は全然こうじゃないから」っていうふうになってしまう人ですね。
あと、主訴の欄に何も記入できない人に大学院生の頃お会いする機会が重なって、どう困っているかがうまく言語化できなかったり、カウンセリングに来てどうなりたいっていうのかをうまく説明できないながらに何か不全感を持っている人が、どんなふうにその自分に対するイメージを作り上げていくのかに興味を持ったんです。それで理想自己が研究テーマの1つになりました。
もう1つが、グループの研究です。集団が苦手な人が安心してその場にいられるっていうのはどういうことなんだろうかということですね。なので、あまりグループの中で成長するモデルとか、グループの中で自己理解を深めるという研究ではないんですけどね。なんか、グループにいても「まし」でいられるというか、少し落ち着いてその場にいられるには、カウンセラーがどんな動きをすればいいのかとかといったグループの研究をしていますね。
院生:
例えば、そのグループの場というのは具体的にどういうところがあるんですか?
高橋:
グループの場で一番多いのは、看護学生の研修グループですね。後は大学院生の授業とか。授業とか研修で「行きなさい」と言われて、グループになることがあるんです。そういうときに、グループは意味があるからやってるんだけど、そのグループの中で本当に意味を見つけて参加していない状態が多いんですね。イヤとまではいかないけど、「これに何の意味があるんだろう」「忙しいのに」という思いを持ってしまう研修とかで、グループに参加する人たちが少しでも、何というか自分のためのグループになるようにするにはどんな進行をすればいいのか、というふうなものがありますね。
あとは、以前病院で働いた関係もあって、デイケアとか基本的な社会生活が苦手な人とその場を共有するとか、学生相談の関係でサイコリトリート、心的な避難所をどうやって日常生活の中で、「あなたの居場所」を作っていくのかというのもグループで、全部種類は違うんだけど、やりたいことは安全感ですね。
院生:
なるほど。私も就学前の子ども達と関わる機会があって、そこでも集団に馴染みやすい子はどんどん友達同士でグループを作って遊び出すんだけど、逆にそこに入れない子は集団から外れてしまって同じ空間にいることが辛そうということがあるんです。そういう子にどうサポートすればいいのかって考えさせられてます。先生ご自身はどういったところを大切にしていけば安心感を得られやすいとお考えですか?
高橋:
例えばグループができてたりしたら、そこに入れようとしないこと。入れようとすることは一つの価値観なので、その人が安心できる方法を考える。そうすると、不思議なんですけど、結果的にその人が安定し、安心すると他の人ともうち解け合えるというか、入れるようになるんですよね。すごく不思議なんですけど、「ここに入んなきゃいけない」と思っている子に、そのことを目標にしないでその子と接するということが大事なんです。
例えば「この子は何が好きなんやろう」とか「この子よくここに座るなぁ」とか。居心地が悪いなりにどこかにはいるので、そこがその人にとっての家になっていて、だんだんとその人の陣地が広がっていくというか、そうしたら結果的に人のいるところと混ざっても平気というか。
院生:
では、その人の安心できる場所作りを手伝うという具合ですかね?
高橋:
そうそう。不思議と人間は、本能的に一番安心できる場所にいるんですよ、不安定なときでも。なので、ここがいいよと誘導するのではなくて、その子が自然にいる、自然にさわっている物とかがすごくヒントなので、それをどんどん見つけて、「それ好きなの?」とか言うと「うん」って見せたりとかする、そういうふうにして二者関係が出来たりする。
院生:
そうなんですか。そういうのって子どもの場合だと顕著に見えるように思うんですけど、看護学生とか大学院生とかでも見えやすいんですか?
高橋:
ええ。座ってる感じや表情を見ることで、誰と誰が友達同士で、どういう時に不安になってどこを見るかとかどう動くかで、一部だけど、この人がこの集団にどのくらい馴染んでて、困ったときにどうするのかなってのはなんとなくわかりますね。
院生:
私自身も集団は苦手な方なので、端の方に座ってらっしゃる方の様子とか見てると、簡単に言っちゃダメなんですけど、すごくなんか分かるというか。
高橋:
そうそう、端っこにいられたらすごく強いんやけど、本当は緊張するのに躍り出てしまう人っていうのもあるじゃないですか、引くに引けなくなってしまって。みんなはありがたいからほっとくんだけど、すっごく苦しかったりするんですよね。だから、そういうのもなるべく馴染むようにしますね。
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