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Vol.2 京都文教大学の「元気印ロジャーリアン」
高橋紀子先生にお話を伺いました。

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● 外側の居場所と内側の居場所

院生:
では、こういったグループの研究と理想自己の研究は先生の中でどうつながっておられるのでしょうか?
高橋:
グループは外側なんですよ、外側で安心する。自分の居場所を見つけたり、イヤなことはイヤなままで良いし、好きなことはいつかチャレンジしたらいいし、といった感じで、その人の居場所を見つける。理想自己は、自分の心の中での居場所を見つけること、自分はこうなりたいし、こうありたいって。でも、そんなさっぱりしたものじゃなくて、そのことを考えているときがすごくうまくいくこともあれば、うまくいかない時もあるし、考えることが励みになることもあれば、圧迫やプレッシャーになることもあるけど、それを自分の心の中の居場所をこういうふうに温めていこうとか、こういうふうにしていったら自分も自然に内側に向けるなっていう感じになれたらいいなっていう。それを内的なもので見るか、人との関係の中で見るのか、というところでけっこうつながっているかなと。
院生:
外との付き合い方と自分との付き合い方という具合でしょうか?
高橋:
そうなんです。なんか私は人が変わるってことをあまり望んでなくて。何かが良くなるとか、成長するとかじゃなくて、イヤなことも好きなこともあっていい状態になる。これらがあることを認められる状態になると、けっこう幸せになるんじゃないかと、心の平静がくるのではないかと思うんですね。
院生:
心の居場所があって落ち着きを取り戻してくると、外での居場所も自分で作りやすくなるんじゃないかということなんでしょうか?
高橋:
そうではないかなぁと思うんですけど、そこはだんだん仮説に近くなってきますね。
院生:
あぁ、でもそうであってほしい仮説ですよね。先ほど先生は、理想自己はパーソナリティに影響しているとおっしゃっておられましたが、この理想自己の部分で自分の居場所が安定してくるとパーソナリティを受け入れられやすくなって、そうなるとありのままの自分を認められるようになって、居心地の悪い場所であっても「私はわたしだから」って思えるようになると集団の中での苦痛は減るのかもしれないですよね。
高橋:
そんな感じですね。理想自己の研究する人はよく現実自己の研究をされるんですけど、私はそうではないので、理想自己とグループの関連を研究していきたいですね。
院生:
だから、先生は実践演習のカウンセリングの授業で「小学生の居場所」といったテーマで取り組んでらっしゃるんですね。
高橋:
そうですね。なんか、あまりスキルトレーニングをしたくなくって。私はロジャース派なので、「その人を聴く」というようなアクティブリスニングというのがあるんですが、それを実践なしでやるとすごく不自然な授業になってしまうんです。こう、「うん、うん」と聴いていますよという態度なんかを身につけても、大切なことではあるけれども、ロジャースの本質とは違うんじゃないかなって思ってて。学生さんにはなるべく困ってもらって、困った上でどうしようかなって考えてもらえたらと思うんですね。
院生:
実践というのを大切にされているんですね。自身の中にある方法を使って出来ることをまず体験してもらうということから始められてるんですね。
高橋:
京都文教大学の学生さんでびっくりしたのは、それをやれちゃうところなんですよ。すっごく柔らかいというか、困ってるなりにやれるから「やれてるね」ということをフィードバックしてあげられればそれで学習になっているというか、肌で感じて身をもって学べてるんですよね。勘が良いんですよね。

● 臨床について思うこと

院生:
これに繋がるかもしれないんですが、臨床領域で先生が活動されているお話もお聞かせ願えますか?
高橋:
今は、社会人の方を対象とした臨床をしています。一つは京都市の学校の先生たちの相談室、もう一つは開業していて、そこで社会人の人たちの面接をしています。開業のほうは、3ヶ月に1回程度の新規受付という感じでじっくりゆっくりやっています。
院生:
今後もまた他の領域も広げていこうとお考えですか?
高橋:
そうですね。今は心理士として、少しでも使える人になりたいんです。「このことしか出来ない人」というのではなく、若手なりにあんなこともこんなこともやってきた、という窓を作っておきたいんです。その中で自分はこれはできるなとか、ここはこうだなとかチューニングして、その時々の生活に合うところでやっていきたいなっていうふうに思っています。私は意図を持って物事に取り組みたいほうなので。
たぶん、元来休んだり遊んだりするのが好きなので、ちょっと自分を律してるんだと思います。本来は臨床ってその時その時の縁を大事にしながらやっていくのが良いように思うんですけど、私は安きに流されて、縁の中でも楽な方へ行ってしまうのではないかと(笑)
院生:
では先生は仕事を外したプライベートな面では、リラックスすることを大切にされてるんですね。
高橋:
そうですね、でも、仕事はそれじゃいけないと思うので。プライベートでは好きな物を食べるし、好きな人と付き合うし、好きなときに寝るし(笑)そのぐらい自分に甘いので、仕事ではしっかりメリハリつけてやろうとしてるんです。
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