top › 吉村夕里先生(PAGE1) › 吉村夕里先生(PAGE2) › 吉村夕里先生(PAGE3)

Vol.4 「精神保健のエキスパート」吉村先生に文教の院生がインタビューを行ってきました。

Page3

● 色々なモードを使い分ける

院生:
そうすることで、教育現場にも利用者の声が届いて、より現実に根ざした専門家が育つということがありますね。
吉村:
そうですね。従来の学習理論が「スキル」や「知」は個人に属していると考えており、個人に「スキル」や「知」を伝達するのが教育であり、以上を習熟してからそれを現場で応用するという図式があると思うのですが、以上の考えのなかでは利用者は専門職の「スキル」の対象でしかありません。私はもともとそういう発想に反感を感じます。というのは、現場では「知」は援助する側とされる側の両者の間に蓄えられているものだと感じてきたからです。たとえば、新人のスタッフの教育を実際は利用者が行っていることもあります。精神科デイケアなどでもメンバーの方がある種のグループアプローチを熟知していて、彼らが実際はスタッフに教えている場面も沢山見ているのです。したがって、知識というものは援助する側とされる側が形成しているコミュニティに蓄えられるとみています。特に、私自身、障害分野での仕事が長いのですけど、実効ある制度は障害者自身やその家族が作ったと見てもいいところがあるので、社会資源や制度に関する実用的な知識についても、非常に豊かなものもあるし、伝承もされているんですね。
しかしそれと別に専門職文化というのがあって、それらがあまり交わっていない、特に教育現場・養成機関では交わっていないんですね。どちらが上位ということではなくて、一緒にやっていくということに興味があるわけです。学部教育には、去年あたりから意図的に入れているんです。
たとえば、教材づくりなどを利用者と呼ばれる立場の人たちと一緒に取り組んでいます。
院生:
最後にこれから臨床心理学を学ぼうとする学生にエールをお願いします。
吉村:
色んな分野の人に臨床に入ってきてほしいですし、できたらいいなと思っているのが障害者の中から、イギリスのように障害学の教授が育っているように、将来は障害当事者の方で大学教育のなかから臨床家や研究者として育っていかれる方が出てくればと思っていますし、そうした方々の研究を援助できないかと思うこともあります。たとえば、論文も、本人たちが書いたものを出したいということがあります。学会発表は今やっているので、そういう交わりが出来ないかなと思っているのと、それから、新しい方にはどんどん現場と触れながら勉強していってほしいなと思ってますね。
前のページ次のページインデックスに戻る