top › 高石浩一先生(PAGE1) › 高石浩一先生(PAGE2)

Vol.7 魂、そしてインターネット。マルチな高石先生に文教の院生がインタビューを行ってきました。

Page2

● どうせ死ぬのになぜ生きるのか。

高石:
他にも色々、疑問はいっぱいあるよ。「どうせ死ぬのに生きていく価値はあるのやろか」とかね。それはずっと考えてる。
院生:
ある少年が「人はどうして生まれてくるの?」って疑問を投げかけたそうです。
高石:
それは、卵子に精子が辿り着いて…。
院生:
そんなこと言うんですか?(笑)。
高石:
言うかも…でも、聞きたいよね、その子には。どんな理由だったら生きる気になるのかって。一般論ではなくて、結局その人がどんな答えを見つけたら納得するのかっていうのを、一緒に探していくしかないだろうね。「先生は?」と聞かれたら自分なりの答えを一所懸命考えるかもしれないけど、「あなたの答えとちがうから聞いてもしゃあないと思う」と言うかもしれん。「とりあえず、見つからんでも生きてはいけるで」(笑)っていうかもしれない。
院生:
先生は自分の存在の意味とか考えたことありますか?
高石:
存在の意味、それすごいと思うね。なんで生きてられるんだろう、どうせ死ぬのに…。自分の書いた本はそのうち古本になって、無くなり、自分の創ったものとか、結局全部なくなっていく。この歳になってくると、貴重だなと思うのは“子ども”のこと。多分、僕が居なかったらこいつらは出来ていないから、これはたいしたもんだと思う(笑)。 後、例えば河合隼雄先生とか、他の先生の話が、今自分の中に生きている。そういう意味では、僕が言いたい放題言ってる話も、あなたたちが受け止めて引き継いでもらえれば、それはそれで生きている価値があったとか思うかもね。 でも、そういうのも結局は無くなるし、消えていくし、っていうスパンで考えたら、僕一人が生きていく意味なんか考えてもしゃーないか、とも思う。人類が存続して、生き延びていって、その一時期を自分が担うっていう、そういうものなのかなあって…「悟り」とでもいうんでしょうか。そういう感覚は、最近になってようよう芽生えつつある。50歳の未熟な「悟り」ですね。
院生:
深まっていくんですよ、きっとそこから。
高石:
深まるのか、面倒くさくなって、「やんぴ」ってなるか、どっちかやろうなと思うけど(笑)。

● インターネットの研究

院生:
では、次の質問。先生はインターネットについて研究していらっしゃいますね。先生はなぜインターネットを研究テーマに取り上げたのか、また、どういうイメージをインターネットに持っているのですか?
高石:
あるシンポジウムで、僕が「インターネットは脳だ」みたいな話をしたら、山中康裕先生が「インターネットは集合的意識だ」とか言っていたね。でも僕は今一ピンときていなくて、「脳だ」という言い方の中には、「意識と無意識が両方ある」という思いが含まれていて、もうちょっと言うと「本能的なもの」、「それを覆い隠すもの」とさらにそれを「昇華させたもの」などが、全部がネットの中にごちゃまぜに入っていて、それがインターネットかなと思っている。「インターネットはグローバルブレイン」だっていう言い方があるよね。ネットっていうのは、ついこの間できたから、脳が創られていくプロセスをどんどんシュミレーションしてるのではないかな。そのうち集合的無意識みたいなやつが、インターネットの世界の中に住むようになるかも(笑)。まだ今のところは、オモテの世界とウラの世界みたいな感じで、意識と無意識の分化が起こりつつあって、要するに誰でも見れる健全なオープンサイトと、他方IDや認証がなければ見れない暗黒のサイトがある。それはトラウマだったり、コンプレックスだったり、そんな感じ。図式的に見ると、無意識的な世界が肥大化しつつあって、そこではエッチなこととか、人を殺すこととか、本能衝動みたいなものが渦巻いてるわけでしょ?一方でインターネットの世界は明るく綺麗で、潔癖でなければならないみたいな、そんな邪悪なもの表に出さないようにしようという意識の世界がある。法律で規制しようとか、その動き全体が、心が形成される、赤ん坊が大人になっていくプロセスに近いなというイメージを持っている。そういう意味で興味深く見ているんです。人間になっていくんだろうか、人間超えたものになっていくんだろうか?っていうのもあるし。
院生:
恐いですね。
高石:
恐いっていうより面白がってるね。所々で行き過ぎて止められる、そのプロセス自体が、子どもがやんちゃして親に叱られるのと似たようなものかなとも思う。その途中で人は傷ついたりするわけだけど、全体としての動きは穏当で妥当なところに落ち着いていく、そういう楽観主義が基本にある。突き詰めないんですよ、僕は。面倒くさいし、暗くなるし。常識的なところで人は止まる。生きるとか死ぬとか悩んでて、あるときふっと、「こんなことしてたら俺死ぬわ」ってね(笑)。
院生:
なるほど、つきつめないのが先生なんですね。
前のページ次のページインデックスに戻る