とき:6月23日(土)14:00〜16:30
場所:京都市国際交流会館イベントホール(地下鉄東西線蹴上駅そば)
入場無料・申し込み不要
★報告1:佐藤藤三郎(作家・農業/山形県上山市在住)「『山びこ学校』の地で『戦後』農業を生きる」
★報告2:澤井余志郎(四日市公害を記録する会代表)「紡績工場から石油コンビナートまでを綴る」
コメンテーター:鵜飼正樹(京都文教大学人間学部文化人類学科准教授)、杉本星子(京都文教大学人間学部文化人類学科教授)、高石浩一(京都文教大学人間学部臨床心理学科教授)
あいさつ:樋口和彦(京都文教大学学長)
趣旨説明:西川祐子(京都文教大学人間学研究所所長)
司会:三浦潔(京都文教大学人間学部現代社会学科教授)
1950年代の生活綴り方は、小学生や中学生、そして義務教育をおえるや集団就職して 工場で働く若い労働者たち、内職にはげむ主婦たちが寸暇をおしんでエンピツをにぎり、 自分のこと、家族のこと、生まれ育った村のことを書き、互いに読み、自分たちの生きる 社会の仕組みを見抜く思想と方法をみつけたことにはじまりました。波紋は同時代に ひろがっただけでなく、文集と記録集は号を重ねました。生活綴り方は敗戦と高度経済成長 という二つの社会変動にたちむかいながら思考をつづけた無数の個人の記録です。
報告1として、戦後の生活記録運動を考える上で重要な記録集である『山びこ学校』 (無着成恭編、1951年)に自らも生徒として書き、そして今も『山びこ学校』の地・山形県 上山市で農業をいとなむ佐藤藤三郎さんに、日本の戦後農業60年を語っていただきます。
報告2は、敗戦後の四日市の紡績工場で、長野県から集団就職してきた女性労働者たち とともに「生活を記録する会」をたちあげ、その後、石油コンビナートの町となった四日市で 公害ゼンソク訴訟の原告たちを支えて『公害トマレ』を発行した公害の語り部・澤井余志郎さん です。澤井さんには工業地帯から「戦後」を語っていただきます。
このシンポジウムが、農村と工業地帯で続けられたそれぞれの「生活記録」が出会う場となり、 その対話をめぐって経験の異なる世代が交流する実りある時間が流れることを願います。
社会学者、故鶴見和子さんは、生活綴り方の可能性、つまり生活を認識する実感のあふれる ことばや、そこから生まれる思想に心打たれて、他人事ではない「自分を含む集団」の研究を志しました。しかし学問研究は対象との距離を必要とします。対象に熱く肉迫しつつも、冷静に世の中の 仕組みを見抜くのでなければ、生き、苦しみ、楽しむ同世代と共にいること、その苦闘を ことばにして集団外へ、また次の世代へと手渡すことはできません。
京都文教大学図書館の鶴見和子文庫未公開部分におさめられているフィールドノートには、 実践と考察の間でひきさかれる研究者の孤独な作業のあとが残されています。文庫をひきつぐ 私たちは、「戦後」を生き抜いてきた生活記録の書き手たちの思いをたどり、そこに鶴見和子さんの 思索の軌跡を重ねて、戦後思想の批判的継承をつづけたいと思っています。