Teacher's LinkTop 文化人類学科 教授 松田 凡
エチオピアの地図

chapter I  エチオピアの少数民族
「コエグ」との出会い
 アフリカ大陸の東に位置する内陸の国・エチオピア。日本の約3倍の面積に推定約6,500万人の人々が暮らすこの国には、大小たくさんの民族が存在します。私の専門は、文化人類学の視点からアプローチするアフリカの地域研究。なかでもエチオピアのある小さな民族集団「コエグ」に焦点を当てて研究に取り組んでいます。
 私は大学院生だった頃から文化人類学によるアフリカ研究に興味を持っていました。どの地域を研究するかを考えるとき、「まだ文化人類学の分野では未開の地域を研究したい」という思いからエチオピアの西南部に注目したのが、今日までの約20年間エチオピアについて研究を続けるようになったきっかけだといえるでしょう。
 主にフィールドワークによる実態調査から研究活動を進めていくのが私の研究手法。現地におもむき、そこに暮らす人々の生業を研究する、つまり生活のためにどんな仕事をし、どうやって食べ物を入手しているのか、といった根本的な経済活動について研究を進めていきます。そこから暮らしに関わる政治・宗教などの問題にもアプローチして、ある民族を起点に、彼ら自身と、彼らを取り巻く世界の全体像に対する理解を深めていく…私の研究の流れを説明するとこんなところでしょう。

 では、こうした研究にどんな意義があるのか? その問いに答える前に、まずは私のフィールドワークの経験について、少しだけご紹介しましょう。
 先に述べたとおり、文化人類学でまだ誰も研究していない地域を探していた私がはじめに注目したのは、エチオピアの「カラ」という民族。まずは現地におもむいて、彼らの日常生活について予備調査的にフィールドワークをしようと考えました。エチオピアではアムハラ語が公用語として使われているので、フィールドワークに出かける前にアムハラ語の勉強を開始。当時の日本にはアムハラ語の教材がほとんどなかったので、アジスアベバに着いてから、3週間くらい集中的に勉強して、日常会話レベルはマスターしました。しかし、カラの人々は「カラ語」という独自の言語を使っているので、現地におもむいてから、アムハラ語を通じてカラ語を教わりながら、約6カ月間のフィールドワークを開始しました。
 現地の通訳が同行することも多かったのですが、ある日カラの村に一泊したときのこと、そこの人々が話す言葉が私にはまったくわからない。はじめは「なまり」がきついのかと思いましたが、通訳もその言語がわからないことからどうやらカラ語とは違う言語らしい。ここはカラの領域のはずなのに、彼らは別の民族なのだろうか? …これがその後20年近くたった今も私が研究し続けているエチオピアの少数民族「コエグ」との出会いでした。
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