あーゆす17号1頁

絵本の力
図書館長・教授  照 屋 敏 勝

私が「絵本ノート」という課題を出すようになってから20余年になる。「絵本ノート」は「保育内容 言葉」という科目の課題であり、8ヶ月間の長期課題になっている。

その課題内容は次のようなものである。

1. 絵本45冊
2. 児童文学作品6冊
3. 保育に関する本1冊
4. 障害者に関する本1冊  『こころの手足』 中村久子
5. 平和に関する本1冊  『わたしがちいさかったときに』 長田新 編(『原爆の子』より)

以上54冊のすべての作品を読んで、1冊のノートに作品ごとの感想文を書いて、完成させて提出する課題である。

この課題のねらいは7つある。

1つは、絵本世界の体験である。4〜5冊ではなく数十冊も読めば絵本の世界が分かるようになる。

2つは、絵本に対する感性や感覚、絵本を感じる力、絵本を分析する力、などである。1冊1冊と深くかかわるので、次第にそういう力がついてくる。

3つは、イメージトレーニングや想像力である。絵本は絵と少ない文で構成されている。したがって、その場面を理解するためには必然的に読み手の想像力が要求される。

4つは、表現力である。「絵本ノート」はすべて絵と文で表現されている。絵は必要条件ではないが、苦手な人もみんな描いている。つまり、学生たちの言語的表現力と造形的表現力が育つことになる。

5つは、すきな絵本やすきな絵本作家の発見である。すきな絵本作家がみつかったら、その作家のすべての作品を読むことが大切である。

6つは、絵本や児童文学や障害者の自伝などを通して子どもや人間に対する認識を深めることである。

7つは、これらの読書や思索を通して自己を再発見し、再認識することである。とくに『こころの手足』はほとんどの学生にとって衝撃的である。

「絵本ノート」の課題をこなしていく中で、学生が感じとり、学ぶことができたものは多様である。「まず、絵本に対する見方が変わったということである。今までは、絵本は小さい子どもが読むための本としか思っていなかった。……しかし、実際には、あの短い絵本の中には、本当にたくさんのことがつまっていたと思う。思いやり、家族の大切さ、協力、人を愛することのすばらしさなど、私達が人間として生きていく上で、大切なことばかりがつまっていたように思う」と一人の学生は述べている。しかし、これは多くの学生の感想であり、認識である。

「絵本は、子どもに生きている歓びを感じさせ、生きる力を与えます。同時に大人をも生きかえらせてくれる言葉の泉です」(絵本研究者 : 松居 直)

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