あーゆす19号1頁

ゴシップ的アメリカ論
京都文教大学図書館長
現代社会学科・教授(社会学)  柏 岡 富 英

ある小雑誌に「不思議の国アメリカ」という題でエッセイを連載している。新聞・雑誌の記事や、送られてくる資料を切り口にして、「ゴシップ的アプローチ」で現代のアメリカを描いてみようという試みである。これまで宗教、フィランソロピー、性、大学の入試、国立公園などについて書いてきた。ちょっと変ったアメリカ紹介という意図のほかに、「いったいアメリカの何が気になってきたのだろう」という、いわば「自分探し」の意味もあるので、エッセイとはいえ、結構真剣に取り組んでいる。資料を調べているうちに大変な思い過ごしに気づいたり、自らの無知蒙昧を思い知らされたりして、とてもいい勉強になる。

私がアメリカを「発見」したのは1960年代の半ばだったから、かれこれ50年ほどの付き合いだ。その間、学生運動と人権運動と女性運動が吹き荒れ、ニュー・ライトが登場し、ベトナムとイラクで戦争があり、冷戦の相手だったソ連がずっこけ、ネオコンが権勢をふるい、そして黒人か女性かがホワイトハウス入りすることになった。この原稿を書いている時点では、ウォールストリートが大変なことになっている。

全般的に言って、アメリカは世界のあこがれの国から、普通の国(ひょっとすると忌み嫌われる国)へ変貌した。日本のアメリカ研究は長い間、「偉い」国に学ぶ、という姿勢が強かった。したがってまた、偉くなくなった国に対する研究の情熱も、近年急速に失われたように見える。しかしアメリカをよく知らないで日本が生き延びる道はないのだ。大上段に構えて見るのではなく、日常生活のゴシップから隣人の心の内を覗き込んでみたい。

(ちなみに、このエッセイを読んでみたいという奇特な方がおられたら、現代社会学科の黒宮講師にお問い合わせいただきたい。)

(かしおか とみひで)

 

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