あーゆす20号3頁

私 の す す め る 3 冊
児童教育学科・専任講師(小児保健)  落 合 利 佳
1 『ガラパゴスの箱船』 カート・ヴォネガット 作 ; 浅倉久志 訳 / 早川書房
『スローターハウス5』『チャンピオンたちの朝食』の作者による作品。時は1986年、ガラパゴス諸島に10名の男女が漂着し、彼らを残して人類が滅んでしまう(人類が滅ぶ理由はヴォネガットらしい荒唐無稽な理由で思わず絶句!)。ダーウインの進化論通りに、彼らを祖先として人類は進化をし続ける。さて、100万年後の新人類はどんな姿をしているか。世界恐慌、戦争など人間の愚行を痛烈に批判した作品。原爆被爆者の子孫が100万年後の人類の祖先となるところも面白い。巻頭に引用されているアンネ・フランクの文章が心に残る。
2 『青い城』 L. M. モンゴメリ 作 ; 谷口由美子 / 角川書店
ヴァランシーは29歳の平凡なオールドミス。おまけに原因不明の心臓発作持ちでもある。口うるさくて無神経な母親や一癖も二癖もある親戚付き合いに息詰る毎日を送っている。そんなある日、医師の元を訪れた彼女は余命1年の宣告を受ける。このまま何もせずに死んでいくのか。彼女のとったあっと驚く行動とは。美しいカナダの自然を背景に、29歳の女性が遅咲きの幸せをつかむまでのサクセス・ラブ・ストーリー。主人公の平凡でさえないオールドミスから魅力あふれる女性に変身していく過程は痛快で小気味よい。『赤毛のアン』と同作者。
3 『夜中に犬に起こった奇妙な事件』 マーク・ハッドン 作 ; 小尾芙佐 訳 / 早川書房
父親と二人暮らしの15歳のクリストファー少年は、真夜中に隣の家の犬が殺されているのを発見する。誰が犬を殺したのか。犯人捜しをする中で、次々に彼の両親や隣人たちの秘密が明らかにされていく。人の気持ちが感じ取れない高機能自閉症である主人公が書いた作文という形式で物語は進む。数字や細かい事実にこだわるといった自閉症の特性もよく捉えられている。主人公に理解できない両親の事情がなんともせつなく、彼を理解し深い愛情で養育している父親に対し同情せずにはいられない。簡潔な文体とイラストで原文でも読みやすい。

(おちあい りか)

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