あーゆす2号1頁

学びへの入門は普門である
教授・図書館長  照 屋 敏 勝

学びの世界に入る門はあまねく存在する。われわれが学ぶ学問領域は多様であり、それぞれの領域に入る門も多様である。


ひみつ
                       谷川俊太郎
あたし しってる
あたしのあと / あなたのあは
おんなじ あなのよ

ぼく しってる
どせいの いちばん
おおきな えいせいは / たいたん

そのほかに せんせいって
なにを おしえてくれるかな
もしかすると すごいひみつ
そっと おしえてくれるかな


学問とは「問い」を「学ぶ」ことである。どれだけの「問い」を発見できるか、どれだけの「問い」を解決できるか、そのプロセスが重要である。

学びは「宝さがし」のようなものであり、「ひみつのありか」を探すようなものである。そのような探求活動がおもしろくなっでくると、学びは楽しくなる。ノーベル賞は「すごいひみつ」を発見した者に与えられる賞である。誰もが発見できる「ひみつ」ではない。

学生時代に日本で最初のノーベル賞を受賞された湯川秀樹先生のお話を聞いたことがある。そのなかで、「私はいつも少数意見でした」という言葉が強く印象に残っている。発見された「ひみつ」は誰も知らないし、その新しい理論を理解できる人はごく少数の者にかぎられているからである。

しかし、高度の学問研究だけでなく、われわれの好奇心を刺激する「問い」は日常生活のなかに無数にある。

大学院のころ、遊び感覚でイタリア語を学びはじめたことがある。山手線の高田馬場駅から早稲田大学までは直通の路線バスもあるが、私はだいたい歩いていた。通りには多くの書店があり、毎月店頭に並ぶ雑誌のなかに「non-no」を発見してイタリア語だと直感した。下宿に帰って早速イタリア語辞典で調べてみた。予想は的中した。しかし、その意味は若い女性向けの誌名には全くふさわしくないものであった。「おじいさん」という意味だったからである。どう考えてもおかしいので、集英社の編集部に電話を入れてきいてみた。答えは予想外だった。アイヌ語で「花」を意味する言葉だということだった。翌日、大学図書館のアイヌ語辞典で調べてみた。まちがいなくアイヌ語の標準語で「花」だと確認できた。

学びの出発点は、「問い」と「おどろき」と「批判」である。そして学びは「自己拡大」であり、「自己実現」である。

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