あーゆす2号3頁

私 の す す め る 3 冊
前本学助教授(現京都産業大学助教授)  若 井 勲 夫
1 『我と汝・対話』 マルティン・ブーバー 著 ; 植田重雄 訳 / 岩波文庫
本学に就任して初めの3年間、一般教育の文学で「我と汝の言葉と文学--対話と沈黙」という主題で講義した基本的な考え方を培った書である。人が人に向かう時、相手の人格・内面との関わりの中で呼びかけ、受け応える対話、心の内なる思いを十分に抑えてこそより深く語る沈黙によって真の一対一の出会いが生まれることを宗教哲学的に説く。
2 『小説日本婦道記』『髪かざり』 山本周五郎 / 新潮文庫
中ごろの5年間、初二の国文学で講読した。武家社会で夫や子の気づかないところに日本女性の美しさと強さが清らかに凛々しく表れる感動的な作品集。「人間の真価は何を為したかではなく、何を為そうとしたかにある」という作者の思念がしみじみと心を打ち、哀れにも厳しく慎ましい女性としての生き方に涙ぐむ学生もあった。
3 『注文の多い料理店』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』 宮沢賢治 / 新潮文庫, 角川文庫
最後の3年間、初等教育研究の演習で年に2冊ずつ読み進めた。東北の自然と風土を舞台に愚直で清例に生き、 深くて広い大慈悲の宗教世界に浄化・聖化されていく人間の姿は若き者の心を揺さぶり、人生の示唆ともなった。 言葉による表現を基礎に、互いに目らの感性と想像力を研ぎ、読み深め、語り合い、苗床・栽培地を語源とするセミナー(ゼミナール)の稔りを挙げた。

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