あーゆす3号3頁

私 の す す め る 3 冊
専任講師  山 田 智 子
1 『深夜特急』 沢木耕太郎 / 新潮社
ユーラシア大陸をデリーからロンドンまで乗合いバスを乗り継いでどこまで行けるのか? 25年前に、そんな酔狂な思いつきで旅をした青年がいた。ルポライターである彼の描写は鋭く、マカオでのサイコロ賭博に手に汗握り、インドでの喧騒と人間模様に人生観が変わる。マニュアル本に頼らない旅の仕方が気持ちいい。読み進むにつれて、旅行者である青年の心の成長が感じられる。私を青年海外協力隊へと導いてくれた本。あー、また旅に出たくなってきた。
2 『銀幕のインテリア』 渡辺武信 / 読売新聞社
最近は、人間愛も恋愛もサスペンスもコメディもごちや混ぜになった映画が人気だ。私は、それに加えて、名作といわれる椅子や照明がさりげなく置かれ、小道具に気を配っている映画がお洒落だと思う。映画は、建築空間を人の動作やしぐさを伴って見ることができ、ライフスタイルとインテリアとの関係を明確にさせてくれる。映画評論家で建築家でもある著者は、この本を「映画から住まい方を学ぶ」ためだけでなく、それによって映画に新たな楽しみを発見してほしいとしている。
3 『羊をめぐる冒険』 村上春樹 / 講談社
耳のモデルの彼女。<僕>の枕もとの電話。<鼠>の撮った1枚の写真。そして羊をめぐる冒険が始まった。次々に登場する不思議な人物。初秋の北海道の別荘で<僕>が見たものは? ミステリー感覚で一気に読めてしまう小説。暗号のような文章と独特の乾いた文体がおもしろい。しかし、物語の底に流れるものは人間の本質に迫り、重くて哀しい。『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』につづく3部作最後の青春小説。

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