心理学と心理の仕事に関心のあるすべての方に。
公認心理師資格をめぐっては気になることがたくさんあります。
資格制度はどのようになるのか、どんな勉強が必要なのか、国家試験の内容はどうなるのか、現在の大学生の受験資格はどうなるのか・・・・
これら気になる点について、京都文教大学では、公認心理師カリキュラム等検討会ワーキングチームに参加している川畑先生監修のもと情報を発信していきます。
もちろん、臨床心理士養成のパイオニアである京都文教大学では、公認心理師養成も万全の体制を整えるべく準備を進めています。
基本的なことを知りたい(資格制度の概要)
Q「公認心理師」とはどんな資格?
国の法令により定められた心理職の資格(国家資格)です。
これまで、臨床心理士をはじめ様々な心理学に関する資格がありましたが、これらは全て民間の資格でした。チーム医療やチーム学校が進む中、心理職にとって他の国家資格者(医師や看護師・保健師など)や学校教員等と一緒に働くうえで重要な資格となります。


Q「公認心理師」の仕事とは?
保健医療、福祉、教育、その他の分野で、心理学の専門的知識と技術でもって次のようなことを行います。
- ① 心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
- ② 心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導、その他の援助
- ③ 心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導、その他の援助
- ④ 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
Q「公認心理師」になるには?
公認心理師になるには以下の全てをクリアする必要があります。


- ※公認心理師になるために必要な科目の内容(カリキュラム)や実務経験の内容は未定で、2017年1月現在も検討が進んでいます。これから新たに公認心理師を目指す場合は、公認心理師カリキュラムに対応することを表明している大学に進学することが最大のポイントとなります。
資格制度についてはまだ準備が進められている段階で未決定のことが多くあります。京都文教大学では、今後も新しい情報が届きましたら随時発信していく予定です。
資格取得に向けて、もう少し具体的なことが知りたい
Q資格を取れば就職できますか?
資格を取得することで、心理の専門職として、医療・福祉・教育・産業・司法などの分野で幅広く活躍することが期待されます。
もし、看護師や管理栄養士の様に病院や施設で有資格者の雇用が法令で定められた場合、飛躍的に雇用ニーズが高まるかも知れません。
しかしながら、どんな資格も同じですが、資格を持ってさえいれば就職できるものではありません。資格取得の学習を通じて、雇う側が採用したいと思うような知識量と能力や振る舞いを身につけてください。
Q資格を取るのは大変ですか?
標準的な資格取得のルートは、大学および大学院で公認心理師科目を修得するルートです。
大学・大学院で学習が必要な内容は現在検討中ですが、それなりの学習量(実習を含む)が見込まれています。とはいえ、公認心理師だけが特別大変なわけではなく、臨床心理士を始め多くの専門職資格は同様です。また、大学院修了をメインとする資格であるということは、それだけ高い専門性が認められる資格であるともいえます。
資格取得への強い意志と学習習慣をもってチャレンジしていただきたいです。
Q資格取得を希望する場合どんな大学に行けばいいですか?
公認心理師カリキュラムに対応した大学に進学する必要があります。
心理系の学科であっても公認心理師カリキュラムに対応していない大学では受験資格を得ることができませんので、注意してください。(2016〜2017年度時点では対応予定を表明している大学)
公認心理師資格の詳細はまだ検討が進んでいる段階であり、大学ではわからないことが多くあります。そんな中でも自大学の学生に情報発信をしたりガイダンスを行ったりしている大学は指導の行き届いた大学として信頼できるかもしれません。
また、質の高い心理職の養成にあたっては、授業科目(カリキュラム)の他にも教員や実習が充実していることが不可欠になります。一つの考え方として、臨床心理士養成に実績がある大学・大学院であるかを参考にすることをお勧めします。
Q大学院には行かなくてもいいんですか?
確かに法令では大学卒業後一定の実務経験を経ることで受験資格が認められていますが・・・
しかしながら、大学院では、理論的な学習と多様な領域に通じる学び・実習、さらに面接技術の習得をじっくりと行うことができます。これらの経験は、資格取得後も大切な拠り所になることは間違いありません。将来、専門職としての自律することを考えれば、大学院に進学ししっかりと学修することをお勧めします。
Q資格試験(国家試験)は難しいですか?
試験の内容は現在検討中となっています。
しかしながら、試験内容が難しいと感じるかどうかは各自の学習次第ですので、日々の学習をしっかりと行う習慣を大切にしてください。
Q臨床心理士資格はなくなるのですか?
現在のところ、臨床心理士資格がなくなることはありません。
臨床心理士はその高い専門性から心理の専門職として実績が社会で認知されており、関連機関等が心理職の人材を求める際の要件になっています。
また、公認心理師の資格制度が始まっても、社会に十分な人数が輩出されるまではまだまだ期間を要します。
さらに、2つの資格の目的は重なる部分が多くありますが違うところも少なくありません。
このような点を鑑みても、途端に臨床心理士資格がなくなることは考えにくいと思われます。
Q臨床心理士と公認心理師どっちの方が有利ですか?
どちらが有利ということはありません。
臨床心理士はその高い専門性から心理の専門職として実績が社会で認知されており、関連機関等が心理職の人材を求める際の要件になっています。
一方、公認心理師は国家資格の性格をもち、特に保健医療・福祉の分野において活躍することが期待されます。
心理の専門職を目指す場合は、どちらか一方の資格ではなく、両方の資格を取得することをお勧めします。