学部・大学院

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臨床心理学部
教員紹介

夢、神話、昔話など象徴的表現に人間成長のヒントがある。

臨床心理学部 教授 
禹 鍾泰

研究テーマ:
深層心理学、ユング心理学、物語研究

心理的、あるいは精神的病を含めた不調は、単なる表面的理解では十分な対処が難しいものです。苦しんでいる本人も気がついていない深層心理を理解し、そこに解決の糸口を見つける努力が必要となってきます。そのために、夢分析などの象徴的表現をしっかり理解する力を培うことが要求されます。そういう夢分析の集合的な形として、神話や昔話、おとぎ話といった物語分析に取り組んでいます。物語には、古来より人間が精神的危機を克服するために、精神的により成熟し安定した人格を形成するためのヒントが秘められているのです。 夢分析や物語分析はユング心理学的な見地からアプローチをしていますし、最近ではオペラ作品も研究対象として取り組んでいます。オペラ作品にも人間が陥りやすい危機的状況や、その危機を乗り越えるための知恵が示唆されているのです。

ゼミではこんな風に学びます。

ゼミでは基本的に学生が主体的に自分のテーマを見つけるお手伝いをしています。選定されたテーマについてはしっかりと支持し、諦めないようバックアップを心がけています。学生の自主的テーマ選びを助けるために、2回生ゼミでは幅広い分野のテーマを取り上げ、3回生ゼミでは深層心理学的な、とりわけユング心理学的なテーマの演習を行っています。

受験生へのメッセージ

臨床心理学では専門外の知識がとても役に立ちます。専門知識は大学で学べばいいので、受験生の間は、自分が興味がある他の分野に関しても、積極的に知識を吸収するようにして、大学で学ぶまでに自分の幅を広げておきましょう。

一人ひとりのこころが大事にされる社会は実現できるのか?

臨床心理学部 教授 
大橋良枝

研究テーマ:
組織内外における分断や孤立に対する心理力動的介入

人の心を守り育む仕事は私たちの周りにたくさんあります。教員、福祉や介護施設の職員、保育士や幼稚園教諭、あるいは仕事ではないけれども養育者(母親)といった人たちに私たちも育まれてきましたね。しかし、こうした人の心や人生そのものに関わろうと志した人たちがそれとは逆の行動をとってしまうこと、相手を傷つけることがありますね。何故でしょう?その働いている人たちもまた組織や社会から守られていないのではないだろうか?そんなことを考えて、人を育て守る立場にある人々のメンタルヘルス維持プログラムの構築、ひいては心のある人間同士として共に生きる社会的価値観の創成を目指して研究や臨床を続けています。

ゼミではこんな風に学びます。

これまでの集団での体験の振り返りや映画などを通して、集団が個人の心理に与える目に見えない影響を学び、集団という「生き物」を分析できるようになることを目指します。

不登校やいじめの問題。心理学ができることは?

臨床心理学部 教授 
臨床心理学部長 香川 克

研究テーマ:
スクールカウンセリング、学校臨床心理学

不登校・発達障害・非行・不十分な養育環境の中で育つことなど、子どもたちが抱えている困難への臨床心理学的な支援を学校教育との連携の中で行っていくことについて、実践を通して考えています。スクールカウンセリングのほか、学生による児童生徒への支援活動をバックアップする活動も行っています。社会の構造が大きく変化しつつある状況の中で、新しい援助の視点が求められているように考え始めています。家族の社会経済的な状況などの外的なことがらにしっかりと目を向けつつ、同時に、心理療法やカウンセリングのようなかかわりを通じてじっくりと内的世界に向き合うことが大切で、この両者のバランスを大切にした援助の枠組みが重要になってきているのでしょう。

ゼミではこんな風に学びます。

学生が自分の興味関心を持ったテーマに取り組むことを支援したいと考えています。実際にテーマとして選ばれることが多いのは、児童期・青年期の対人関係、児童期・青年期の居場所、児童期・青年期の家族関係など。児童・青年期関係が多いですが、そればかりではないさまざまなテーマを選択する学生がいます。

受験生へのメッセージ

子どもや思春期の人たちに関わっていきたいと思っている人には、ぜひ京都文教大学に入学してほしいと思います。学校や教育関係以外にも、子どもと接するさまざまな場をみなさんと一緒に作っていきたいと考えています。

臨床心理の基本は人との関わり。あらゆる人間関係に応用ができます。

臨床心理学部 教授 
川畑直人

研究テーマ:
対人関係精神分析、非行臨床、組織コンサルテーション、
被災地に対する心理学的支援

面接場面を二者心理学的にとらえる対人関係学派の中でも、最も二者心理学的な相互交流、すなわちオープンで透明なコミュニケーションを目指すサリヴァン派の精神分析を追究しています。また、対人関係論やシステム心理力動論的な観点を、発達障害児に対するグループセラピー、非行少年や情緒障害児の施設処遇、企業に対する組織コンサルテーション、そして被災地における心理学的援助に活かす工夫をしています。密度の高い一対一の面接関係の中で、自己の探索を深めていくという精神分析の臨床をいかに日本に定着させていくかを問いつつ、精神分析の神髄をさまざまな臨床現場、そして社会的な課題に適用していくことに関心を持っています。

ゼミではこんな風に学びます。

対人社会心理学コースとしてゼミを運営します。2回生ではカウンセリングやコーチングの演習を行った後、経営組織心理学について学びます。3回生では、社会性の発達に関する文献を読んだ後に、卒論指導に入っていきます。

受験生へのメッセージ

臨床心理学の基本は人と関わることです。人との関わりに積極的になれる人、さまざまな人間関係について関心のある人に、ぜひ受験してほしいと思います。心理の専門家としてだけでなく、あらゆる人間関係のなかで、学びを活かしてほしいですね。

誰も取り扱っていないことに目をつけてハマルのが「研究」だと思う。

臨床心理学部 教授 
高石浩一

研究テーマ:
ナルシシズム研究、人とロボットの関係性に関する研究、
セクシュアル・マイノリティの心理臨床に関する研究

誰もが考えることではなく、まだ誰もまともに取り扱っていないことに目をつけて、ハマることが「研究」だと思います。私自身、常に新しいトピックを追いかけているうちに、『まどか★マギカ』やLGBTQのカウンセンリグに興味を持ったり、ロボット演劇を観に行ったりしました。これからは少し過去を振り返って、拡散から収れんに向けた研究の方向性を模索したいと思います。

ゼミではこんな風に学びます。

「よく遊び、よく学べ」の精神のもと、2回生ゼミではまず精一杯臨床心理学的に遊び、3回生ゼミではひたすらお勉強したいと思います。4回生ゼミでは、社会人へのイニシエーションとなる卒業論文を、全員が書いて卒業できることをめざします。

受験生へのメッセージ

2ちゃんねるなんかで情報集めをしていないで、思い切って飛びこんでおいで。臨床心理学の面白さとものたりなさを、目いっぱい体験させてあげるから。そこで自分探しにあきたら、今度はとっとと卒業して、世のため人のため自分のため、しっかりがんばって働きましょう!

脳機能とこころの働きの両面からアプローチ。

臨床心理学部 教授 
中島恵子

研究テーマ:
臨床神経心理学、高次脳機能障害、認知リハビリテーション、復職支援

ある日突然の事故や病気など人生の不測の事態から起こる「高次脳機能障害」。この障害によって脳の認知機能が以前のようにうまく働かなくなった方々のための脳機能回復、心理回復、心理適応のための支援(認知リハビリテーション)、さらには、社会復帰、復職につなげる支援が求められています。支援を必要とする方々を医療・福祉の現場でサポートするとともに、そのよりよい支援のあり方を追究しています。

講義ではこんな風に学びます。

脳機能とこころの働きについて考えることは自己理解につながります。楽しく脳について一緒に学びませんか? 

深層心理にあるイメージ。それを理解することをめざして。

臨床心理学部 教授 
名取琢自

研究テーマ:
深層臨床心理学、分析心理学

深層臨床心理学の領域で、「無意識」「イメージ」「身体」「相互作用」の4つをキーワードにして研究を展開。深層心理から引き出される概念やイメージから、具体的な「何か」を発見するために、日々体験と考察を繰り返しています。また、心理療法家とクライアントが言葉やイメージを交換するなかで、互いの間に育っていく「何か」についても、分析心理学や元型的心理学の観点から研究をつづけています。

ゼミではこんな風に学びます。

各自が興味のあるテーマを自由に設定し、海外の研究例も触れながら研究計画を練り上げます。現代心理学から深層心理分析まで広い視野で取り組みます。

受験生へのメッセージ

心のなかに現れる「イメージ」の意味を理解するには、文化、宗教、芸術など、幅広い分野の知識が非常に役立ちます。また日々「考える」といういとなみも重要です。心理学に限らず、興味や関心の幅をできるだけ広げておきましょう。

心と身体は一つにつながっている。「気」をキーワードに両面のケアを。

臨床心理学部 教授 
濱野清志

研究テーマ:
「生きたからだの体験からこころを考える」「病を自身の体験として生きることについて」「樹木画などを用いた表現療法」

この20年程は心理療法の実践に加え、一人で、あるいは小人数の集まりで気功を実践し、こころとからだをつなぐ「気」について考えてきました。そんななかで、日常の意識状態と瞑想的意識状態の行きつ戻りつができると、視野が広がってくることに気づきました。そして、そういった意識が生じる場所としての自身のからだを深く味わうことが、それぞれの主体性を養っていく上でとても大切なことだと考えています。最近の心理療法の分野での言葉でいえば、マインドフルネスという姿勢、態度です。東洋思想に根ざしたこころの理解が、心理療法のより包括的な理解をもたらすのではないかと思っています。また、味わうことから表現することへも関心があり、樹木画などの研究もしています。

ゼミではこんな風に学びます。

学生さんにとっては少人数でちょっとコアに考えることのできる大切な時間です。
彼らがどのようにその時間を使いたいか、それによって毎回、興味深い展開をしていくので楽しみです。

受験生へのメッセージ

自分が持って生まれた資質に目を向け、その資質が最も生き生きと輝けるような生き方ができるといいですね。自分の心に触れることが面白く、他人の心に触れて、互いに元気になることに楽しみを感じる、それが臨床心理学を学ぶ資質だと思います。

心理臨床学と精神医学のつながりを模索しています。

臨床心理学部 教授 
平尾和之

研究テーマ:
精神医学、心理臨床学、そして映画

人の心、生き方に興味があります。心理的視点(個別的、主観的視点)と医学・生物学的視点(普遍的・客観的視点)を重ねながら、心理臨床学と精神医学のつながりについて、臨床実践(臨床心理士と精神科医のコラボレーション)から学問的基礎(心理療法と脳科学のコラボレーション)にわたるレベルで、模索しています。また、心理臨床学と芸術・表現(とくに映画)のつながりについて、夢などのイメージを通して、研究しています。

ゼミではこんな風に学びます。

『夢と映画をめぐる冒険』ゼミでは、夢にかかわる映画や創り手の人生を心理臨床学的観点から味わいながら、夢や映画などのイメージが人の心や生き方に果たす力を体験的に学んでいきます。

「わかる」ことは「かわる」こと。理解(わかる)を通して脱皮(かわる)しよう!

臨床心理学部 教授 
平岡 聡

研究テーマ:
インド仏教説話、仏教の多様化

仏教はインドに誕生した後、アジアの各地に広がっていきましたが、気候風土や文化が異なる地域に仏教が根づくには、土着の宗教と習合し、変容することが必要でした。こうして仏教は他の宗教と比べ、変容の度合いが激しくなっています。現在の私の関心は、その仏教の多様性にあります。なぜ仏教は多様性を許容し、また多様性は何によって引き起こされるのか、またどのような多様性が生き残るのか。そういった問題を「進化論」を手がかりに研究しています。

講義ではこんな風に学びます。

常識(既成の価値観)が覆される快感を是非とも大学の学びで味わって欲しいですし、またそれを心がけて授業(講義)しています。

統合失調症者への心理療法の新しい可能性を探る。

臨床心理学部 教授 
松田真理子

研究テーマ:
臨床心理学、医療心理学、芸術療法

健常者と統合失調症者の「ヌミノース体験(宗教体験)」の異同を検討することで、統合失調症者の心理療法に新しい視座を見出す試みを行っています。また「アットリスク精神状態群」と呼ばれる思春期・青年期の人々が精神病顕在発症しないよう予防的な心理療法の探索も行っています。さらに医療・教育・産業の異なる領域を結ぶ心理的援助の可能性を模索しています。そして「生きる意味」という原点に立ち返り、多層的な視点から物事を捉えていく柔軟性と真摯さを培うことをめざしています。

ゼミではこんな風に学びます。

各学生が深く探究したいテーマを絞り、自分のテーマにふさわしい研究法を発見することをめざします。

受験生へのメッセージ

京都文教大学は新しい大学ならではの活気と創造性にあふれたキャンパス。あらゆることから人生の輪が広がり、多くの発見や学びがあるはずです。さまざまな体験を通じてみなさんが持っている可能性を大きく広げていってください。

学校のさまざまな課題に教育はどう向き合うのか

臨床心理学部 准教授 
浅田 瞳

研究テーマ:
教育社会学、情報教育、ネットいじめ、教員養成

教育と社会はお互いに影響を受けあっています。例えば高度経済成長期には教育の現代化による詰め込み教育が進められ、バブル経済の崩壊とともにゆとり教育が進められました。学校現場は社会の影響を受けざるを得ないともいえます。社会と学校との相互関係を明らかにし、子どもたちの実態をとらえ、そこから導き出された課題にどう向き合うのかを研究しています。

講義ではこんな風に学びます。

社会には教科書だけではわかりにくに「問い」がたくさんあります。積極的に「問い」を見つける積極的な姿勢をもって授業に臨んでみてください。

夢・箱庭・描画などのイメージを用いた心理療法に関する研究をしています。

臨床心理学部 准教授 
臨床心理学科長 井上嘉孝

研究テーマ:
深層心理学、物語の心理学、異界イメージ

夢・箱庭・描画などのイメージを用いた心理療法に関する研究。あるいは吸血鬼や怪物など、異界・他界・異形の存在があらわれる物語の分析を通じたイメージやシンボルに関する研究。また、心理療法におけるクライエントとセラピストの関係性、とくにセラピストの主観的体験、いわゆる逆転移の臨床的意義に関する研究。その他、「キャラ」や「不登校」など、現代における心の問題を深層心理学的な視点から考えています。

ゼミではこんな風に学びます。

各自の興味関心を心理学の知識とつなげて、研究にまとめあげるお手伝いをします。心理学の学びを、ぜひ今後の人生に活かしてください。

「自分を知るための“かけら”」を見つけるために。

臨床心理学部 准教授 
倉西 宏

研究テーマ:
傷つきと喪失の臨床心理学、グリーフケア、
イメージを用いた心理療法

人は何かを・誰かを失う時、悲しみに包まれ、悩み苦しむことがあります。ただ、喪失やその傷つきは「自分とはどういう人間なのか」ということの“かけら”を示してくれる場合があります。そのプロセスがいかにして進み、そのためにはどのような援助が必要なのかについて取り組んでいます。そういった観点からグリーフケア活動団体である『京都文教大学グリーフケアトポス「Co*はこ」』を立ち上げ、死別体験をわかちあう会を行っています。ゼミ生を中心にスタッフになってもらい運営を行い、活動の幅を今後も広げていく予定です。詳細は「Co*はこ」のホームページに記載されていますので覗いてみてください。
また、心理療法において描画や箱庭、夢、などのイメージと呼ばれる表現を用いることが、いかに自己や自分自身の抱える現実と向き合うことにつながるのかについて考えていきたいと思っています。

講義ではこんな風に学びます。

自身の関心ごとを入口として、場合によってはこれまで抱えてきた自分自身のテーマにも触れながら、自分が納得のいくテーマを選び、卒業論文につなげていきます。

人間にとっての「死」、「死」から見えてくる「生」とは?

臨床心理学部 准教授 
清水亜紀子

研究テーマ:
癌・HIV・小児科を中心とした身体疾患の心理臨床、終末期臨床、事例研究を主とした心理臨床学、ユング派の心理療法

ユング心理学に興味があり、その考えをベースに臨床と研究に励んでいます。具体的には、がんを中心とした終末期における心理療法、遺族ケアなどを通して、人間にとっての「死」、そして、「死」から見えてくる「生」について考えています。また、心理療法の中で、夢、箱庭、描画などのイメージがどのように現われ、どのような内容を持ち、どのような機能を果たすのかについても関心を持っています。

ゼミではこんな風に学びます。

学生が自分の興味関心を抱けるテーマを探し、そのテーマに取り組むお手伝いをしたいと思っています。ディスカッションを通して、ゼミメンバーの意見にさまざまな刺激を受けながら、自分や他者の“こころ”について感じ考えていく力を身につけてほしいです。

医療・福祉の現場で活かせる「ケアマネジメント技術」の効果的な習得方法を研究。

臨床心理学部 准教授 
二本柳 覚

研究テーマ:
ソーシャルワーカーのケママネジメント技術習得のためのシステム構築

本学で養成している精神保健福祉士を含め、ソーシャルワーカーは、複雑かつ困難な事例に対してさまざまな領域の方と連携して業務にあたっていく必要があります。その中で必要となってくるのが「ケアマネジメント技術」ですが、ケアマネジメントは実学であり、学生時代に学ぶことには限度があるのが実情です。そのため、卒業してからの現場の経験だけではなく、卒後教育の一環として、このケアマネジメント技術を習得するためには、どのような研修が効果的なのかを研究しています。

講義ではこんな風に学びます。

しがらみなく、一番柔軟に知識を吸収できるのが学生時代だと思っています。講義ではさまざまな考え方に接する機会を積極的に用意することで、いわゆる紋切り型でない、それぞれ個性を持ったソーシャルワーカーになってもらえれば嬉しいです。

困難を抱えた人の地域生活を支える方法を探究しています。

臨床心理学部 准教授 
松田美枝

研究テーマ:
地域での臨床心理的支援

ライフステージに応じて、子育てをめぐるトラブルや不登校・ひきこもり、薬物やアルコール等への依存、精神障害、自殺など、私たちが暮らしている地域では日々たくさんの問題が生じています。そうした困難を抱えた人々の多くが、物理的・制度的・その他の理由から支援を得られないままに過ごしています。当事者の自助グループなどと連携しながら、困難を抱えた人の地域生活をどう支えていくかについて考えています。

講義ではこんな風に学びます。

春学期の精神保健学Aでは、乳幼児期~思春期~老年期など、さまざまなライフステージの特徴について学んだ上で、精神保健的な課題を視聴覚映像を用いながら分かりやすく取り上げていきます。秋学期の精神保健学Bでは、統合失調症、うつ病、依存症などの精神障害について理解し対応していけるように詳しく学びます。

臨床心理学的立場から、“自我体験”を考える。

臨床心理学部 講師 
千秋佳世

研究テーマ:
臨床心理学。自我体験とそれをめぐる語りについて

自我体験とは私という存在の不思議さ不確実さに気づき、それまで当然のものだった「私」や「世界」の自明性が揺るがされる体験です。その中からいかに新たな主体が立ち現れてくるのか、さらにはどうやって「他者」と出会うことができるか、臨床心理学的立場から考えています。そこから派生し、避けえない体験にいかに個人が向き合い、引き受けていくのかとうことも大きなテーマとして考えています。

講義ではこんな風に学びます。

身近な話題を臨床心理学的に考察する作業を通じ、受講生の自己理解や他者へのまなざしの変化につながることを目指したいと思います。

緊張しがちな対人関係を楽に捉えられる心の在り方に注目しています。

臨床心理学部 講師 
橋本俊之

研究テーマ:
内観療法、働く人の心のケア、母のイメージ、チャムシップ体験

私は日本生まれの心理療法である内観療法を長年実践し、研究してきました。内観療法では、母のイメージやチャムシップ体験などの様々なメカニズムが働くことによって、緊張しがちな対人関係を楽に捉えられるようになり、企業や学校、医療現場などで働く人の心を癒してくれています。私自身も人見知りな面があるため、このような内観療法で見られるメカニズムについて、事例研究や基礎研究の方法を用いてコツコツ解明しています。

子どもから青年への転換点「前思春期」のこころに触れる

臨床心理学部 講師 
長谷川千紘

研究テーマ:
臨床心理学、前思春期、プレイセラピー、子どもの遊びと想像力

前思春期(子ども時代から思春期への移行期)のこころについて関心をもっています。前思春期は「わたし」という自己意識が成立する、こころの成長にとってとても重要な時期です。この時期の子どものこころについて、箱庭や夢などのイメージや、このときに出会う大切な「他者」(同性の友人、想像上の仲間、推しなど)をキーワードに研究しています。

ゼミではこんな風に学びます。

「好きなこと」はこころの世界への窓口です。自分の「好きなこと」を大切に、臨床心理学の学びを深めてほしいなと思います。

効果的な英語教育について、様々なアプローチの方法を研究しています。

臨床心理学部 講師 
リビー・ローレンス シモン

研究テーマ:
脳科学的英語教授法、タスクに基づいた学習法、
最小限の教育資源による教育活動

私は、脳科学から得られた知見の学習・教育活動への応用、ならびにボードゲームを利用した教室でのタスクに基づいた学習について研究しています。また、教授法に加え、教育資源や資金がほとんどない、あるいは皆無の状況下で応用可能な技術に関して、開発途上国での教員指導を積極的に行っています。

科学と実践の両方の視点を大事にする。

臨床心理学部 助教 
上田紗津貴

研究テーマ:
摂食障害、女性のメンタルヘルス、認知行動療法

臨床心理学には科学者と実践家の両方の視点が大切だと思っています。これまで、心理職として医療・教育・産業の領域で臨床や研究に携わってきました。その中で、研究だけでなく臨床においても科学的な知見が重要であることを実感しました。研究では、実践に役立つ臨床的示唆を生み出すことを意識しています。主な研究テーマは摂食障害の予防で、摂食障害のリスク要因に関する検討や、摂食障害予防プログラムの開発を行っています。

講義ではこんな風に学びます。

これまでの臨床・研究で得た経験を活かし、授業を通して学生のみなさんの学びに還元することをめざします。

ことばでは言い表せない体験やこころを、ことばにうつしていく試み。

臨床心理学部 助教 
後藤貴一

研究テーマ:
認知症とバウムテスト、粘土と心理療法、イメージと身体

非言語的なコミュニケーションの価値や面白さは、臨床心理学を学ぶものにとってはもはや自明のものと言えます。しかし病院や学校などの臨床現場において、多職種の方々と臨床心理学的観点や知見を共有するのは、そう簡単なことではありません。投影法的な検査やプレイセラピーがなぜクライアントや患者にとって役立つのか、心理職がどのように現場や多職種に貢献し得るのかを探っています。

講義ではこんな風に学びます。

大学は他者に成長させてもらう場ではなく、生涯に渡って自分自身を成長させる学び方を身に着ける場です。ぜひこの大学生活の中で、自分を育てる楽しさを知ってもらえたらと願っています。

他人と関わり自分を知る。自分と関わり他人を知る。研究も臨床もその繰り返しです。

臨床心理学部 助教 
境 明穂

研究テーマ:
臨床心理学、心理アセスメント、
心理臨床実践における「甘え」理論

心理療法におけるセラピストとクライエントの関係性に関心があります。心理療法に持ち込まれる関係性は、その人の過去・現在の状況やパーソナリティと深く関連しています。特に関係性における「甘え」の感情の理解が、心理療法ないし人の心を理解する重要な鍵のひとつになるのではないかと考えています。また、日本で生まれた精神分析理論が、現在の心理臨床や精神分析臨床にどう生かされているのかについての研究を行っています。

講義ではこんな風に学びます。

皆さんの関心のフックに少しでも引っ掛かるような授業を目指したいと思います。

主体が自己、他者、世界を感じ、思いやることから調和が生じ、その体験は閃きに満ちている。

臨床心理学部 助教 
田中啓幹

研究テーマ:
自己調和体験、内受容感覚、心身機能のネットワーク

人が他者と共にする体験や関わりの中で程よく調和し安定する自己調和体験に関して、さまざまな視点から探究しています。心身機能のネットワークや層を捉え、心身のさまざまな機能の布置、主体や物語が立ち上がる様子、感覚―認知機能の繋がりや均衡、アハ体験―自己調和体験―至高体験のスペクトラム等を研究しています。箱庭や描画等の表現において、感覚や感情複合体がイメージや言語、物語の次元に纏まっていく様子も興味があります。

講義ではこんな風に学びます。

人間の奥深さや幅広さについて共に理解を深めていきましょう。様々な出会いと学び、体験を通してアイデンティティ感覚を養ってください。

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