今の自分は大学での出会いが大きく関わっています。
京都文教大学に行って良かったと心から思います。

01 どんな学生時代を過ごされていましたか?

学生自治会での活動が中心でした。そこでの活動と出会いが、今の自分を形成しています。

 京都文教大学でのことを語るうえで、絶対に外せないのが学生自治会中央執行委員会(略して中執)での活動です。こんなこと言うと怒られるかもしれませんが、京都文教大学に何か大きな希望を持って入学したわけではありません。入学を目前に控えた頃は、特に何も代わったことのない普通の大学生活を送るんだろうなと思っていました。

-中執に入ったきっかけは?-

 のちに10年以上の付き合いになる友人からの誘いでした。よくわからないけどまあやってみるかという軽い気持ちで入りました。学生自治会は複数の団体で構成されています。全学生の学費から1人6,000円を自治会費としていただき、それを活動資金として、学園祭の実施や課外活動団体の支援を行う団体があり、中執はそれらを取りまとめて、イベント企画や学内の環境整備などを行う組織です。私たちが入った当初は、2回生の先輩2人に私と友人の4人でのスタートでした。

-そこではどんなことを経験しましたか?―

 1回生の頃は活動にそこまで熱心ではなく、授業がない時間は食堂でみんなで喋ったりゲームをしたり、授業後に遊びに出でかけたりと、ごく普通の大学生活という感じで、楽しい毎日を送っていました。変わったきっかけは、1回生の3月に卒業祝賀会で司会を務めたことです。準備していた企画が大失敗になり、大変だったことを覚えています。そのときに、当日までたくさんの時間があったのに、なんでもっと真剣に取り組まなかったんだと、後悔と恥ずかしさに襲われました。来月には新入生が入ってくるのに、自分たちがこんな先輩ではだめだと、そのときにスイッチが入った気がします。

 それまでの活動は、しないといけないことをしているだけでしたが、もっと自分たちから何かを生み出していこうという意識に変わりました。そして2回生になり、私を中執に誘った友人が自治会長に、私が副会長になり、それから卒業まで、本当にいろんなことを経験しました。会長と副会長はそのまま3回生になった2年目も続け、その2年目には、「京都文教大学生に京都文教大学を好きになってもらう」という活動理念を掲げました。この理念ができるまでにも紆余曲折がありましたが、この理念ができてから、より一層、中執での活動や仲間関係が深まったように感じています。目標を明確にしてチームで共有することは、今の仕事でも特に大切にしていますが、それを実感したのはこのときでした。

 4人でスタートした中執は、卒業時には50名ほどの大きな組織になっていて、まだまだやりたいことを残しての卒業になりましたが、卒業式では、中執が課外活動特別賞を授与され、私が代表して、鑪学長(当時)から賞状を受け取りました。そのとき、壇上に上がる前から泣いていて、これ以上涙がこぼれないようにずっと上を向きながら賞状を受け取ったのを覚えています(笑)。それくらい、入学時には想像しなかったほどにすごく充実した大学時代を過ごせました。

インタビュー風景1枚目

-課外活動以外はどんな生活でしたか?―

 割と友人は多い方だったと思うので、休み時間には1人でいるというよりも、大学にいれば誰かと会うので、誰かと一緒にいて話して楽しく過ごしていたというのが印象に残っています。京都文教大学が小さなキャンパスだったことの一番良かったところがこの、"大学に行けば誰かに会える"ということだったなと感じています。

 ゼミは濱野清志先生のゼミでした。濱野ゼミは、なんでもやっていいよという雰囲気でした。中執の活動では学内外で研修を受けることも多々あったのですが、そこで自分が体験したワークを、自分がファシリテーターとしてやってみたいということを言うと、ゼミの時間を丸々使っていいよと言ってくださる先生でした。ゼミがファシリテーションの練習の場のようにもなり、その経験は今の仕事でも活かせられているので、濱野先生と、付き合ってくれたゼミの同期のみんなには本当に感謝しています。ゼミは今でもたまに交流があって、そんなみんなと出会えたことも大学生活の大切な思い出になっています。

-京都文教大学に入った理由は?―

 高校生の時に不登校だった時期があり、その当時は、これから先も生き続けていくことに辛さを感じていました。そこから前向きになれたのは友人の存在でした。そこでの自分の心の変化に興味を持ったのが始まりです。その、自分が高校生という年齢の頃に悩んだ経験から、”生徒の心の面に専門的に向き合うことができる教師になりたい”という思いが芽生え、教員免許が取れて、なおかつ心の悩みについて学べる大学に行きたい!と思って、京都文教大学を選択しました。教員免許は取得して教師の道には進んでいませんが、京都文教大学へ入学したことは、これまでの自分の人生での最大の良い選択だったなと思っています。

02 現在の仕事について教えてください。

人に何かを伝える仕事がしたいなと漠然と考えていましたが、それが実現できているように思います。

 大学での経験から、組織の運営をサポートしたり、人に役に立つことを伝えるような仕事をしてみたいなと思っていました。そんなときに、私を中執に誘った友人から、川畑直人先生が経営している会社の仕事を手伝わないかと誘いがありました(友人は川畑ゼミでした)。心理カウンセリングを主に提供している会社で、組織を心理的な面からサポートするコンサルタントを養成するためのセミナーをしていると説明され、俄然興味を持ち、最初はアルバイトとして入ったのが、今も勤めている会社です。

 会社では大きな仕事から細かな仕事まで、いろんな経験をしています。その中でも特に今これだと言えることは、大学生を対象に行っているコミュニケーション力向上研修であるCompusというプログラムです。京都文教大学の1回生全員を対象に行った”ともいき探求”というプログラムが原点になっていて、複数の大学に講師として訪問しています。組織心理コンサルテーションという分野で、京都文教大学のプロジェクト科目の講師をしていたこともあって、ともいき探求とその授業のことで、週2,3日くらい大学に行っていた時期もありました。その頃は卒業感がなかったです(笑)。

-仕事のやりがいは?-

 Compusのことで言うと、受けている学生から、狙いとは別の視点の、私もハッとするようなコメントが出る瞬間があります。そのときは、そんな気付きを得られる体験をしてもらえたのかと思い、とても感動的な思いが溢れます。それと、知らない人同士がプログラムを通して知り合い、友人になっていく様子を見ることも、この仕事をしていてよかったなと感じる瞬間です。「参加してよかった」の一言がある度に、疲れが吹っ飛んでいくような気分になります。

インタビュー風景2枚目

-大切にしていることは?-

 何をするにもまずは目的をはっきりすること、迷ったときは目的は何なのかに立ち返ることです。ついつい目的は何なのかを忘れたり、無意識に目的が別の目的にすり替わってしまうということが誰しもあると思いますが、そうなっては自分も回りも混乱してしまいます。チームや仲間内で、目的がはっきりと共有されていれば、もっとよりよいものを作り出すことに繋がると考えているので、その目的は何なのかということ、それを共有すること、その作業に時間をかけるようにしています。これは今の仕事で教わったことですが、学生のときに中執で掲げた活動理念は、まさにこれだったなと思います。

-校友会の副会長になった経緯は?-

 ともいき探求の計画とプロジェクト科目で、よく大学に行っていた頃でした。学生時代からお世話になっていた大学の職員さん(校友会役員)から、今の校友会を変えたいということで、副会長にならないかと声をかけていただいたことがきっかけです。運命かと感じたのですが、ちょうどその頃、卒業生として大学に何かできることはないかと考え始めていました。なので、これはまたとないチャンスだなと感じ、二つ返事でお受けしました。

03 学生時代の「自分」に向けて一言メッセージをどうぞ

「ありがとう」と言いたいです。

 今の自分があるのは、紛れもなく大学時代の生活が大きく影響しています。大学での友人、先輩、後輩、先生、職員さん、本当に多くの人との出会いがあったことで、今の自分があるなと感じています。当時は自分は運がいいと思っていましたが、振り返ってみると、自分の行動もそういう出会いを招いていたなと思います。
   絶対に嘘だとよく言われますが、私は結構人見知りです。ですが、大学では楽しい生活を送りたい!大学に入る前とは変わりたい!と、かなり勇気をふり絞って、"人に話しかけること"を頑張っていました。知り合いや友人が増えると、その繋がりでまた人に出会うこともよくあったので、そうなるとまた緊張して頑張らないといけなかったですが、次第に、自分のことを知ってもらえること、人のことを知れることに、嬉しさや楽しさを感じることの方が大きくなっていきました。
   今の自分を作ってくれた人たちとも、そういうふうに出会った人たちが多いです。大学で"人に話しかけること"を頑張っていなければ、今の自分はもっと違っていたと思います。大学に入る前の暗いことを考えていた頃には想像ができなかったほど、今も充実した生活が送れています。なので、あのとき頑張ってくれた自分に、「ありがとう」と言いたいです。

04 卒業生(校友会員)へ

大学時代の友人との関係をまた紡ぎ直してほしいです。

 私は大学での繋がりが今も大きく影響している人間ですが、そういう人は恐らく少ないと思います。大学でできた友人とはもう連絡を取ることはなくなった、みんなどこで何をしているかわからない、という人は多いのではないでしょうか。
   卒業してからこんなことを思います。あれだけ同世代の人がいて、意味のない話をしたり、その場のノリで急にどこかに出かけたり、朝までお酒を飲んでみんなでしんどくなって、そんな環境も、そんなことができる人も時間も、働き出したら全然ない!大学はいつでもそんなことが転がっていた!奇跡みたいな場所だった!

 今も大学の繋がりを感じる人は少ないかもしれませんが、大学の時に同じようなことをしていた人は多いのではないでしょうか。またそういう時間を過ごしたいなと思うこともあるのではないでしょうか。あなたがそう思っていることは、友人も同じことを思っていると思います。なので、連絡を取らなくなった友人に、たまに連絡を取って、学生時代のようにパーッと遊んでほしいです。待つのではなく、自分から誘ってみてほしいです。それが難しければ、校友会がそのお手伝いをします!1人でも多くの人が、通った大学が京都文教大学でよかったなと感じてもらえるように努めますので、これからもよろしくお願います。